塾講師を辞めたかった全力中年さん(42歳・男性・福岡県)が転職した体験談です。
仕事内容 | 進学塾の国語の先生から銀行のテレホンアポインターに転職 |
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年収 | 360万円から280万円にダウン |
アルバイト先で社員登用してもらった
大学生の時分よりアルバイトで塾の先生をしていました。就職活動は、出版関係を狙っていましたがうまく行かずアルバイト先での社員登用という形で就職しました。
専門は国語なのですが、どうしても英語や数学に需要が多く、また先生が不足しているという理由で英数国の先生となりました。
年数も重ねる毎に、教科指導以外にも後輩講師の指導や、保護者とのカウンセリング、校長となり他の講師のマネジメントや校舎の収支管理など広がっていきました。また塾業界は講師の移籍やそれに伴うお客の引き抜きも多々あり、その対処も任されました。最終的には幾つかの校舎を束ねる立場になっていました。40歳を過ぎた頃 、つまりアルバイト時代から数えて24年間塾の先生をしてました。
家族とのすれ違いで転職を考え始める
塾の先生を辞めようと思ったきっかけは、幾つかあります。
まずは勤務時間が遅くまでである点です。生徒は放課後に来る訳ですから、当たり前なのですが生徒が皆帰る22時頃から終礼をしていると会社を出るのは早くても23時に、遅ければ日付が変わる頃になります。出社は普段なら13時なのですが、学校の説明会があれば朝8時には家を出ることになり、また講習会や受験時期はもっと早くなります。若い頃はそれが当たり前なのですが、年と共に体に支障をきたす様になり、また家族とのすれ違いも多くなり、転職を考え始めました。
また、格安のデジタルサービスなどの出現や入試の推薦枠の拡大により塾業界自体が縮小傾向になってきたのも転職を後押ししました。
履歴書・職務経歴書は添削してもらった
働きながら仕事を探す、また私のように夜型人間だと24時間情報が得られるネットが主力となります。エン転職、マイナビ、DODAなど多くのサイトに登録しました。またマイナビとハローワークで履歴書、職務経歴書添削をしてもらい、塾業界以外にもスキルをアピール出来るような文言にしました。
ただサイトから直接応募は、なかなか採用担当にインパクトが小さいと思い、必ず担当者に些細な質問でも投げ掛けてから、履歴書を送ることを心がけました。
生活スタイルを朝型にしたかったので、9時頃から業務開始であるのを最優先にしました。また家族のこともあり、なるべく転勤が少ないのも条件に入れました。運転免許を含め資格を持っていないため、消去法で選びました。
免許や年齢制限の募集も交渉するのが大事
私にとってネックなのは運転免許を持っていないことでした。本当は、人材派遣のカウンセラーや障害者施設のスタッフに興味があったのですがほとんどが要普免が条件でした。ただハローワークで相談した際に「要普免とあってすぐ諦めるんじゃなく、念のため会社に交渉してみたら」とアドバイスされてからは、その様にしてみました。
また39歳までという条件も多く、これも免許同様に交渉の電話をしてみました。採用にはつながりませんでしたが、2社に1社は交渉に成功しましたし、断られるときも無下にということはありませんでした。
派遣から正社員に
新天地として選んだのは銀行のコールセンターです。紹介予定派遣でしたが1カ月で社員になりました。
口座開設や解約、また住所変更やキャッシュカードの再発行、振り込み業務、投資信託の相談や売買など全て電話で行うか、書類発送後電話相談にて行います。
また数少ない大卒ということもあり、外国人のお客様向けの英語対応も行います。
コールセンターですのでマニュアルはあるのですが、お客様はマニュアル通りに質問する訳ではないので、質問の意図を組むのに初めは苦労します。
また、口座をお持ちの方により良い金融商品を提案するのも業務です。受電の際だけでなく時には架電しお薦めします。
また証券外務員などの資格も必要に応じて取得する必要があります。常に進化を求められる職場です。
土日休みで家族旅行を計画できる新鮮さ
決め手のひとつは業務時間が9時から18時と、家族とすれ違いがなくなることです。個性的なセンスが求められる塾の先生とは違ってスタッフが皆同じ業務をするので、自分の代わりがいる。つまり休日に急に呼び出されることもないだろうと思い、プライベートの時間が優先出来そうと思ったのも良かったです。
転職して一番良かったのは、明るい内に帰宅出来ることです。会社帰りにコンビニ以外で買い物が出来ることは新鮮でした。
また、土日が休みなので家族と旅行に出かけるチャンスが毎週あるというのも、新鮮です。
一方、不満ではないのですが一年通しての達成感が今のところ得られないのが物足りないところです。時期によってキャンペーンやレート、また個人的に資格試験が待っていたりと毎日平坦ではありません。ただ、かつての様に夏と冬に講習会があり、冬に入試、春に出会いと別れというような季節感はありません。また特定の顧客と長い付き合いをしていたのに比べ、一期一会の要素が強まり、深い話や付き合いをしないのも物足りなく感じるひとつです。
また銀行は固いイメージがありましたが、人間自体は気さくな人が多いです。しかし銀行法により、言い回しにかなり気を配らなければならない文言が多くあるのは入行してみてから知りました。
ダメならまた再転職してやるぐらいの気持ちで!
職を全く変えることには勇気はかなり必要です。ただ、これまでした経験が具体的には活きなくても、広く見ると同じ様なものであることは多々あります。また、これまでの経験が次に入る会社から見ると貴重に見えることもあります。
採用され最初は戸惑うことも多くあると思いますが、最初は仕事にならないのも織り込んでの採用ですので、気にせず、またダメなら再転職してやれ位でいいと思います。